中国役入門:第2章「1桁役とそこから見える歴史」

2020年08月21日

さて、中国麻雀の基本は前回書き連ねたので、今回からは本格的に中国役について触れていこうと思う。

中国役には1点役から88点役まであり、和了りには8点無いと和了れない(8点縛り)と言う話も以前したとは思うが、ではそもそも8点を作るのはどれほど難しいのか、と疑問が浮かぶ。根本的に和了時に役が全く付いていないという牌姿はほとんどないが、そうなるとこの8点縛りがネックなのだろうと言うのも想像に難くない。と言うことで、構成役の基本である1桁役から紹介していきたい。

まずは1点役から。

・一般高(イーバンガオ)

これは日本で言うところの一盃口のことである(日本でもかつては一般高と記載されていた)。形は日中同じで、同型2順子で2面子構成されていれば成立する。最大の違いは、一般高には門前限定の縛りが無い。つまり副露していても成立する。

・喜相逢(シーシャンフォン)

はい2つ目にして既にピンとこない役が出てきた。これは別の色で同じ順子を構成すると成立する役で、一般高の片側を別の色にしたと言えば伝わるだろうか。分かりやすく言うなら二色同順である。私の中では後述の役と合わせて「2つで成立するんかいシリーズ」と呼んでいる。

・連六(リェンリュー)

これもまぁ日本にないのだが、同色牌で連続2順子構成すれば成立する。123456とか345678とかそう言った、要は一気通貫の外側から任意の3枚を抜いた形である。

・老少副(ラオシャオフー)

これも日本にはない役で(開幕から日本に無い役ばっかりじゃないか!)、同色の123と789の面子があれば成立する。例を挙げにくいのだが、一色で純チャンという訳でもない(同色の他の面子があってもいい訳で、極端な話123456789の一気通貫完成形でも老少副は成立する)。同色の123789があれば成立すると覚えていただければ。

・么九刻(ヤオチューコー)

これは字面の通り、么九牌で刻子が1つでもあれば成立する役(暗刻・明刻問わず)。注意しなければいけないのは、この場合の構成要件は老頭牌と客風牌(つまりはオタ風牌)であり、門風・圏風牌(同じく自風・場風牌)の刻子によっては成立しないことに注意。

・明槓(ミンカン)

こんなのは説明しなくても分かるレベルの名称ではあると思うが、明槓子があれば成立する。これで1点もらえるの?とも思うがリアルなレベルではある気もする。

・缺一門(チュェイーメン)

字面が違うだけで、つまりは絶一門である。一応説明を入れるならば、萬筒索のうち2種類を使う(1種類を絶つ)と成立する役。なお、字牌は含んでも良い。

・無字(ウーヅ)

同じく字面が全ての説明不要な役である。字牌が無ければ成立する。

・辺張(ビェンヂャン)

うん、辺張である。ただし待ちが1つでないといけない。8999の7で和了って結果的に辺張和了りという場合には成立しない。日本では2符の加符役となっている。

・坎張(カンヂャン)

これも字面の違いだけで嵌張である。同じく7779の8で和了って結果的に嵌張和了りという場合には成立しない。同じく2符の加符役。

・単調将(ダンディャオヂャン)

順番で察しの通りつまりは単騎待ちである。同じく7779の9で和了って結果的に単騎和了りという場合には成立しない。同じく2符の加符役。

・自摸(ヅモ)

ツモ和了りである。日本のツモと違って門前限定ではない(というか日本のツモは厳密に言えば門前ツモ[門前清自摸和(メンゼンチンツモホー)]である)。

・花牌(ホヮパイ)

和了時に花牌があれば1枚につき1点付く。ただし、この1点は8点縛り解消には利用できない(2翻縛りの際の一発裏ドラと似たような解釈)。

この13種類が中国麻雀の1点役である。どうだろうか、日本麻雀にもその残滓を感じるもの、影すらないものとあるが、これが最低点数である。リアルな点数バランスだと感じる。そう思わない人も、これから上の点数役を知っていくうちにそう感じだすことだろう。

次に2点役。

・箭刻(ヂィェンコ)

日本で言う三元牌。これを刻子にして和了ると成立する。

・圏風刻(チュェンフォンコ)

日本で言う場風。同じく。

・門風刻(メンフォンコ)

日本で言う自風。さらに同じく。

・門前清(メンチィェンチン)

門前でロンした際に必ずつく役。日本ではこの役は10符の加符役となっている。

・平和(ピンフー)

出ました平和。日本の平和と同じく4順子1雀頭の構成で成立する役。が、逆に言えばそれさえ守れば副露してもよく、何なら最終形が両面でなくてもいい。しかし雀頭は必ず数牌で無ければならず、日本では可能な客風牌雀頭も不可な点が異なる。

・四帰一(スーグィイー)

ちょっと分かる役が出たと思ったらすぐにピンとも来ない役が出てくるのが中国麻雀の常である。名前に四が入る...うーん、とはなるだろうが簡単に言えば456666など、槓せずに4枚使いの牌姿で和了ると成立する役である。なるほど、これが役になるのか。

・双同刻(シュヮントンコ)

はい字面で分かるタイプの奴。これはつまるところ二色同刻のことである。2つで成立するんかいシリーズその2である。日本と違って同順も同刻も2つから成立するのが良いね。

・双暗刻(シュヮンアンコ)

はい言ったそばからさらに出てきた2つで成立するんかいシリーズ。暗刻2つで役が成立するのも好感が持てる。

・暗槓(アンガン)

まぁ明槓があるんだから当然あるやろなとは思っただろうがこれは2点役。なんでも槓すれば点が付くんだからアリっちゃアリよね。

・断么(ダンヤオ)

はい、最後は簡単なの。日本麻雀でもタンヤオ知らない人はいないと思うので説明はしなくても大丈夫だと...。

これら10種が2点役である。ここまでちゃんと大丈夫だろうか不安にもなるが、先はまだこれからである。

続いて4点役。

・全帯么(チュェンダイヤオ)

まぁ所謂チャンタである。これも以前書いたが中国麻雀には純全帯么九と混全帯么九の区別が無い(と言うかそもそも区別するべき役ではない)。

・不求人(ブチューレン)

誰からも副露せずにツモ和了りした場合に成立する役。日本麻雀で言うなれば門前ツモである。門前清(門前ロン)が2点で不求人(門前ツモ)が4点と、ここに微差が設けられているのもバランスを考えると理にかなっている。

・双明槓(シュヮンミンガン)

はい出ました紛らわしい役その1。ここまで読んできた人なら『あぁ、字面からして明槓2つね』と思うことだろう。それでは半分しか正解していない。この役は明槓2つ、あるいは明槓と暗槓1つづつの場合に成立する役なのである。つまるところ修飾している先は何かという解釈次第なのである。と言うのはつまりは双×明槓ではなく(双+明)×槓と言う解釈なのである。これが明槓1つと暗槓1つで双明槓が成立する根拠である。

・和絶張(フーヂュエヂャン)

場に3枚見えている牌で和了った場合に成立する役。地獄単騎とかでは無く両面でも良く、例えば25両面待ちで2が碰されてて5が3枚切られている場合はどちらで和了っても和絶張が成立する。

4点役はこの4種類だけではある。4点役だけ覚える人はいないとは思うが、ここまでで27種類もあるので、小休止として。

続いて6点役。

・碰碰和(ポンポンフー )

ニュアンスで分かるとは思うが、対々和である。それ以上でも以下でもない。

・混一色(フンイーソー )

同じく。

・三色三歩高(サンソーサンブガオ)

三歩高とは3つの順子の構成牌が1ないし2ずれている形(234.345.456とか123.345.567)のことである、間違いなく後に出てくるので先に説明しておく。三色三歩高は1しかずれることを認められていないが、その代わりこれ(234萬345索456筒みたいなの)で6点くれる。

・五門斉(ウーメンチー)

これは以前紹介したが、萬子筒子索子風牌三元牌の5種類を使って和了ると成立する。五族共和を表しているらしい。

・全求人(チュェンチューレン)

4面子を吃・碰・明槓して裸単騎の状態で和了ると成立する役。不求人(門前)以上に全求人(オール鳴きの裸単騎)は難しいということでのこの点数だろうか。

・双箭刻(シュヮンヂェンコ )

はい出ました復習問題みたいな奴。箭刻が三元牌1種なのでそれを2種集めれば成立する。言うなれば二三元である。

はいこの6種が6点役。ここは覚えやすいかも。

最後に8点役。

・花龍(ホヮロン)

3種類の数牌を使って123・456・789を作ると成立する役。つまりは3色イッツ―。なんせオシャレですよね、イッツーを3色で作るなんて。

・推不倒(トイブダオ)

これも以前書いたが、上下対称の牌(1234589筒、245689索、白)のみで和了ると成立する役。牌の色の種類とかではなくデザインオンリーで括るのは面白い。

・三色三同順(サンソーサントンシュン)

これはつまりは三色同順のこと。

・三色三節高(サンソーサンヂェガオ)

ん?さっき出なかった?と思った人、さっきのは三歩高でこれは三節高である。が、ニュアンスとしては似ていて、こちらは3種類の数牌の刻子で1ずつ上がる形(777.888.999)で和了ると成立。

・無番和(ウーファンフー )

出ました、何でもありじゃん役。花牌以外全く役が付かない時に成立する役。まぁ日本だとネット麻雀で副露しまくって役が無くなるのはよくあるが、中国では大概の役が付くのでこれが意外と難しい。待ちは両面(もしくは双碰の字牌じゃ無い側など)、出和了限定で、槓子無し、刻子は中張牌で1つまで、雀頭は字牌で、3面子は順子である必要がある(そうじゃないと役が付く)。意外と成立しにくいように思えるが、これら全ての成立要件を守った究極の役無しの状態でこの役が付く、と言うのはモヤモヤしないではないが...。

・妙手回春(ミャオショーフィチュン)

日本の海底撈月である。ここまではいい。

・海底撈月(ハイディラオユエ )

日本の河底撈魚である。紛らわしい。え、海底が河底で、妙手が海底...え?ってなる。捻れてる。

・槓上開花(ガンシャンカイホヮ)
あぁ、嶺上開花ね、と分かるだろう。日本では海底が嶺上と複合しないが、中国では妙手と槓上は複合する。
・搶槓和(チャンガンフー)
えぇ、日本のチャンカンと同じです、はい。 
・双暗槓( シュヮンアンガン)
まぁここは落ち着いて双暗槓です。暗槓2つで8点です。シンプル!(いや、ここまで来たらもう説明することもないですわ...)

はい、と言うわけで8点役は10種類。


いやぁ、どうだっただろうか。日本に残ってる役、残ってるけどちょっと違う役、無い役。色んなものがあったと思うが、1点から8点までで43種、つまりは中国役の半分をこれで覚えたことになる。意外に簡単だったのでは無いだろうか(いや、どうだろ)。
まぁ実際問題、これが何の役に立つのかとは思うが(←)、基礎役の数々を学んでもらえれば、と。 

 

 


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