レジャー白書の数値から見る遊技需要の増減

2020年12月15日

そういえば、2020年版レジャー白書が発行された。コロナ禍において日本における競技人口をどれほど正確に測れるかは何とも言えないところではあるが、少なくともポッと出の経済学者が捲し立てる数字よりは数十年の歴史があるという点では信用できる書籍である。名前すら知らないという人の為に一応説明すると、1977年から続くレジャー関係の統計をまとめたモノでは随一の白書であり、そのデータは日本の遊戯遊興人口の推移をはじめ多くの分野に幅広く用いられている。

さて、そのデータによれば、麻雀の競技人口は前年の580万人から70万人減の510万人となった。無論、先程触れたとおりコロナの影響が少なからず影響しているのは間違いないだろうし、その数字からイコール麻雀をする人間が70万人減少したと単純に捉えるのは短絡的である。が、しかし、データとして減少した70万人はどこへ行ったのかと言えば、勿論辞めた人もいれば天寿を全うした人もいるわけだが、それが大多数では無いように思える。その中の大多数は「見る雀」へと移ったのである。

2014年に870万人いたとされる麻雀人口は年々減少し、15年600万人、16年17年は500万人と、数年で300万人強が減ったことになる。そこから18年に80万人増の580万人となったのには、少なからず「Mリーグ」の影響が関与したことは否定できない。が、結果的にそれらから入った人や元々やっていた人の中には、見る方が楽しいという人が一定数いたわけで、それらが見る麻雀つまりは見る雀である。

終いにはこの現状である。全国の雀荘の中には休業や廃業を余儀なくされる店舗もあったわけで、そこに通う客の見る雀化はその進行度合いを加速度的に早めることとなった。

本質として麻雀に関わる人口自体は変わっていないと言えばそうなのかもしれないが、根本的に客あっての店、店あっての客である。客が来なくなれば店は閉めざるを得ないし、店が閉まれば客は新規開拓をするか見る雀に移るかの選択肢を迫られる。これははっきり言って悪循環である。元々雀荘に出入りしない層はその分母に介入していない以上そこを高望みすることはエゴだろうが、雀荘に通う人間の常時流出は喫緊の課題である。コロナの終息が第一義であるのは地球人類の総意だろうが、麻雀に携わる者として、この現状には思うことが尽きないではある。

が、そもそも論で言えば、他のボードゲームあるいは遊技と比較しなければそれこそ杞憂である。俺だけ金が無いと嘆いたところで、周囲も同様に金が無いならそれはある種一様に、と言うことである。

将棋は1985年に1680万人いた人口が2005年には半分の840万人になり、2015年には1/3の530万人まで減少した。が、藤井聡太プロの快進撃と羽生善治永世七冠の誕生により、17年には700万人へと回復している。

囲碁は1982年に1130万人いた人口が2006年には1/3の360万人に、17年には約1/6の190万人にまで減少している。

こう見ると80年代のバブル好景気の参加人口が明らかに突出しているだけにも思える。実際麻雀の1982年の競技人口は2140万人となっている。

実際麻雀だけのデータで考えるとその人口は全盛期の1/4まで減少しているように思える。が、これは麻雀に限らず遊技市場全体の問題なのである。が、将棋にはスターが現れ人口が回復した。囲碁においても「ヒカルの碁」の大ヒットによって連載開始した1998年の390万人から連載終了した2002年には480万人への回復を見せている。

麻雀において人口回復への第一歩はMリーグ創設者の1人であり、サイバーエージェント代表である藤田晋の言うように「一般層への認識の変化と浸透、大衆が親近感を持つこと」であると感じる。

麻雀マンガと言えば「近代麻雀」と言う観念を取り払ってヒットした「咲-saki-」が実写映画化までしたように、麻雀界隈にある『どうせアングラな認識されてんだろ』と言う我々の考えこそ、まず初めに取り除かなければならない障壁なのかもしれない。麻雀人口を回復するカギはそこら中に転がっているのだ。

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