「四風子連打」の成立を辿る
2回目にして3人打ちのJJ倶楽部において採用されていないルールを掘り下げることが果たしてどうなのかとは思うが、全国的に見ればやはり主流は4人打ちであり、4人打ちにおいては比較的オーソドックスなルールとして採用されているので、考えてみたい。
所謂四風子連打とは、任意の局において配牌を取って一巡目、東家から北家までが同じ風牌(東・南・西・北)を連続で切り出すことで、途中流局となるルールである。途中流局するルールと言えば、九種九牌・四開槓・四家立直・三家和とこれぐらいであろうか。
少し前にふと疑問に思った。九種九牌(正式には九種么九牌倒牌)が対子や暗刻が1つでもあると不成立になるところから、それらを除いた牌で変わらず九種九牌の状態なら可となって、現在のとにかく九種類あれば宣言できるルールに変遷してきたのは元々の中国麻雀がそうだし、四開槓(四槓散了とも)は次の嶺上牌が表ドラになるため続行するとゲームが成立しなくなる可能性を持つ意味で、四家立直と三家和はそもそも採用しないと言うのも最近は聞く話ではある。では、四風子連打は何故採用されるのか。
そのルーツを辿るとそもそものルールは「四風」ではなく「西風」、つまりは西風子連打であった。なんで西?とはなりそうなものだが、そこに仏教の考え方が浸透していることはあまり知られていない。
仏教には、人間は死ぬと西の方角へ去っていく、「一路帰西(イールークーシー)」という考え方がある。太陽が沈む方角は闇をイメージすることから、プラスマイナスならマイナス、陰陽なら陰、生死なら死を司るという解釈である。
そこで、「西」を打つ分にはなんて事は無いが、それが最初から4連続で打たれるというのは、開幕から負のイメージが纏わりついて縁起が悪いという点から、中国では西風子連打が採用されることとなった。
だが、ここで誰かが気づいた。「それなら四は死に通じて縁起が悪いじゃないか」と。
日本語においても、この2つは共に「シ」と読めるが、中国でも同じく「スー」と言う同音で読む漢字なわけである。じゃあ、西に限らず何かしらの四風牌が一巡目において連続で切られて枯れることが、四=死につながって結局縁起が悪いので、四風子連打と変化したわけである。これは結局のところ西風子連打を含んでいるのでむしろわかりやすくなったといえる。
日本人は宗教観が薄い、と言われ始めたのは今に始まったことではないが、私たちが日常的に遊技する麻雀のふとしたルールに、宗教を根とする考え方が存在することにはある種の感心を抱かずにはいられないではある。